オフィスで人間関係が円滑になるデスクの配置は存在するのか考えてみる

職場におけるストレスの原因は様々ですが、多くの心理学者の研究によるとストレスの60%を占めているのが、社員や上司との人間関係という結果が出ています。

人間関係を左右するのはコミュニケーションです。このコミュニケーションを円滑になるように、オフィスのデスクの配置や空間の使い方を変えたところ、ストレスレベルが減り、社員同士の助け合いが増え、残業が減ったという事例があります。
業務効率だけではなく、ストレスレベルをも左右するデスクの配置。社員同士のコミュニケーションを増やすデスクのレイアウトとは何かを検証します。

同じフロアでもメールで業務連絡 魔のデスク配置とは

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出典:https://pixabay.com/ja/

快適なデスクの配置を考える前に、悪い事態を引き起こしたデスク配置を見てみましょう。
とあるエンジニアが集まる企業では、一時期離職者が増え、自殺者まで出たと言います。その原因は座席レイアウト。

壁を前にしてエンジニアたちの机が学校の教室のように並び、一番後ろに社員を監視するように管理職が座るスタイルでした。エンジニアたちからは管理職が見えないのに対して、管理職からはエンジニアたちの行動が全て見えるこの配置は、とても落ち着かず圧迫感があったといいます。フロアには70人のエンジニアたちがひしめき、室内にはパーテーションはありません。

また、相談したいことがあっても、後ろの上司の席に行くためには後ろを振り返らなければなりません。
全員が静かに業務を黙々と行っている状態で、報告とまではいかないちょっとした相談や、雑談もしづらい雰囲気。そのため、コミュニケーションの方法は、同じフロアにいるのに8割がメールだったそうです。

ストレスの原因は上司からの視線とコミュニケーション不足

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会社を辞めてしまう、自殺にまで追い込んでしまう魔のデスク配置。原因は「上司からの視線」と「プライバシー」、「コミュニケーション」です。
全てが見渡せるプライバシーがない状態は、他者からの「視線」を意識してしまい、大きなストレスとなっていきます。特に上司からの視線は、「監視されている」と感じ、落ち着かない状態で業務を行わなければなりません。

また、上司との距離が遠く、背を向けているためコミュニケーションを常に拒絶する形となっています。圧迫感を感じる上に、物理的に距離が遠いため、コミュニケーションが取りづらくなっているのです。

エンジニアは、チームで業務を行いながらも、一人の作業に集中する時間も必要なワークスタイルです。学校の机の配置型では集中はできますが、後ろから監視されている圧迫感で、集中力は散漫になってしまいます。仕切りがないこと、席と席の間が狭いことも安心感を得ることができません。話をしてはいけない雰囲気が蔓延し、円滑なコミュニケーションをとることは難しいでしょう。

快適な職場に必要な「パーソナルスペース」と「リラックススペース」

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この職場に足りないものは「パーソナルスペース」と「適度な距離」です。

上司や仲間、チームとの席は、近すぎても集中できず、遠くても意思の疎通は難しくなります。オフィスを快適な空間にするためには、「無駄なスペース」が必要なのです。

社会法人ニューオフィス推進協議会規定は、社員1人あたりの業務スペースの最低限度は6平方メートル程度が一般的であるといわれています。もちろん限られたスペースのなかで難しい場合もありますが、パソコンと書類を置いても余裕があり、隣との適度な距離があるスペースが必要です。

また、コミュニケーションを取りやすくするためには、オフィスに「何もしない場所」を作ることが有効だと言われています。ちょっとした立ち話をする、一息つけるなど、気分転換を行うための場所を作ることで、アイディアや悩みを気軽に話しやすくする雰囲気を社内に作ることができます。

コミュニケーション型のデスク配置でコミュニケーション力とひらめき力をアップ

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では、実際に、デスクの配置を考えてみましょう。

事務職、営業、クリエイター、開発など、業務形態によってレイアウトパターンは変わります。レイアウトには「コミュニケーション型」「コンセントレーション型」があり、チームで行う開発や制作などコミュニケーションが重要視される業種では「コミュニケーション型」が良いとされています。

コミュニケーション型のオフィスでは、「グーグル社」が有名です。開発者同士のコミュニケーションを円滑にし、クリエイターのひらめきを助けるために設計されたオフィスは、開放的です。パーソナルスペースを明確に区切らず、リラックスできるように空間には遊びを取り入れています。

コミュニケーション型では、コンパクトな島型(対向式)レイアウトが多く用いられます。広めのデスクを向かい合わせ配置するパターンです。
また、三角型の配置も好まれます。斜めの角度で向かい合わせになるため、パーソナルスペースが広く感じます。
どちらも向かい合わせのため、チーム内の管理がしやすく、コミュニケーションが取りやすい配置です。

また、デスク下に脚が無い幅の広いデスクに横並びで座るフリーアドレス型があります。こちらも開放感があり、どこにでも座れる自由度があります。横とのコミュニケーションも取りやすく、最近好まれるレイアウトです。

これらのレイアウトは、コミュニケーションを取りやすい反面、相手の動きや話し声などが集中力を妨げる場合があります。
対策として、パーテーションで仕切られた業務スペースを別に設けておくとよいでしょう。視線が気にならないだけでも、安心感から集中力をアップさせることが可能です。集中したい時にはそこへ移動して、作業できるようにします。

デスクの配置以外にも、集中力を上げるホワイトノイズ(川のせせらぎなどの心地よい自然な音)を流すなど、開放感を意識した空間作りも大切です。職場の圧迫感がなくなると、自由に席を立ち仲間と話すことができる雰囲気になります。コミュニケーションが取りやすい職場環境となるでしょう。

効率重視の動線だけを考えていては、快適な職場スペースを作ることはできません。
コミュニケーションが希薄でストレスを感じやすい職場では、社員はミスを起こしやすいと言われています。ミスが多発する職場では、社員の士気もさがってしまうでしょう。

机の配置ひとつで、社員のモチベーションは決まります。コミュニケーションしやすくなるデスク配置と空間作りが大切なのです。

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